このところ、「皇位の安定継承」を巡り、自民党幹部の発言が相次いでいる。
先ず、11月24日放送のフジテレビ「日曜報道 THE PRIME」(私もVTR出演)で、
自民党税調会長で安倍首相側近の甘利明氏が、「女系」容認論を唱えた。「(皇位の継承について)最終的選択肢としては女系(による継承)も容認すべきだ」と。
翌日(25日)には、「積極的に容認したわけではない」と釈明。
だが、同氏が“消極的に”容認していたのは、番組を観れば分かる。自民党の岸田文雄政調会長も同日、
「皇室の長い歴史、伝統を考えた場合、女系天皇は慎重に検討すべきだ」と述べて、
消極姿勢ながら女系の“可能性”を百パーセント排除していない。更に26日には、以前に女性天皇容量論を述べていた二階俊博幹事長が、
記者会見で「男女平等を念頭に考えていけば、自ずと結論は出るだろう」と
意味深長な発言をしている。女系による継承を可能にする為には、勿論、皇室典範の改正が不可欠だ。
先ずは第1条の改正。
現行条文は以下の通り。「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」これを、
どう改正する必要があるか。「最終的選択肢として」であれ、消極的であれ、「女系」にも継承資格を認めるならば、
「男系」という限定を外さなくてはならないのは、改めて言う迄もあるまい。
しかし、一方で継承資格を「男子」に限定したままでは、そもそも「女系」を容認する
意味が無い。「女系」とは女性天皇のお子様の系統だから。
よって、これも除外。そうすると、およそ以下のような条文になる。「皇位は、皇統に属する者(又は皇族)が、これを継承する」
(現行条文では“皇族”という継承資格の限定を第2条に回している)―かねて私が提案して来た改正案と重なる。
これが、憲法の「世襲」規定(第2条)には何ら抵触しないというのが、政府の見解だ。「皇位を世襲とする限り、憲法は改正しなくても、皇室典範を改正することにより、
女系又は女性の皇族が皇位を継承することを可能とする制度に改めることができる」
(内閣法制局執務資料『憲法関係答弁例集〔2〕』)と。どのような形でも、最終的に「女系」を認めるならば、皇室典範第1条の改正条文は、
上記案以外は俄(にわか)に想定し難いはずだ。
もとより、関連して改正を必要とする条文もある。
それは別の機会に(さしあたり拙著『天皇「生前退位」の真実』幻冬舎新書参照)。【高森明勅公式サイト】
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